前回の記事では、夜も眠れないほどの激痛を引き起こす「石灰沈着性腱板炎」の概要と、私自身の実体験についてお話ししました。
病院のレントゲンで「肩に石灰(カルシウムの塊)が溜まっています」と言われたとき、「なぜそんなものが肩の中にできてしまうのか?」と疑問に思った方も多いのではないでしょうか。
本来は溜まるはずのないカルシウムが肩の奥に沈着してしまう背景には、大きく分けて2つの原因が関係しています。
1. 血流の悪さによるカルシウムの沈着 肩の深部にあるインナーマッスル「腱板(けんばん)」は、もともと毛細血管が非常に少なく、血流が乏しいという特徴を持っています。
日常の動作や腕の使いすぎなどで腱板に小さな傷がついた際、健康な状態であれば血液の循環によって組織が修復され、不要な老廃物は自然と回収・排出されます。
しかし、血流が悪い状態が続いていると、修復の過程で老廃物の排出が追いつかず、リン酸カルシウムがその場に「置き去り」になって結晶化してしまいます。これが石灰の塊ができる1つ目のメカニズムです。
2. 腱板を傷つける根本原因は「肩甲骨の硬さ」 では、そもそもなぜ腱板に過剰な負担がかかり、傷がついてしまうのでしょうか。
その大きな引き金となっているのが【肩甲骨の動きの悪さ】です。
本来、腕をスムーズに上げるときは、腕の骨(上腕骨)だけでなく、土台である「肩甲骨」も連動して上へ回るように動く仕組みになっています。
しかし、長時間のデスクワークや姿勢不良などで肩甲骨がガチガチに固まって動かなくなると、腕の骨だけで無理やり動かそうとします。その結果、関節の狭い隙間で腱板が繰り返し挟み込まれ、強い摩擦と微小な傷が発生してしまうのです。
肩甲骨をロックしてしまう「真の土台」とは? このように、肩の石灰沈着を防ぎ、改善するためには「血流」と「肩甲骨の柔軟性」が欠かせません。
では、そもそもなぜ現代人は肩甲骨が動かなくなってしまうのでしょうか? 肩甲骨をほぐそうとしても、すぐに元に戻ってしまうのには明確な理由があります。
次回の完結編では、肩甲骨の動きを根本からロックしてしまう「身体の土台(肋骨・胸郭)」について詳しく解説します。
